#おかななの読書記録 04

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高3の頃の文学探求という科目で、『しろいろの街の、その骨の体温の』を読んで初めて村田さんの存在を知って、ド共感した記憶があって

そのあとGRANTA JAPAN with 早稲田文学の『素敵な素材』を読んで、『しろいろの~』とはまた雰囲気が違って、すごい作家さんだなぁって思って。その次にやってきたのがこの本。たまたま図書館で表紙をみて、本当に穴が空いてるのかと思って気になって手に取れば村田さんでこりゃビックリ

 

 

何がすごいって、当たり前の感覚がぶっ壊されたこと。 読んでて吐きそうになるくらい頭がおかしくなりそうなくらい、生命倫理とか正義とか、今私が考えてることは本当に正しいのか?私の正義は本当に正義なのか?なんてことが頭の中をぐるぐるぐるぐる

SFだ、って捉えればそれで済まされるのかもしれないけれど、生の描写が生々しくて、SFだって捉えようとしても捉えられなかった

殺人出産、トリプル、清潔な結婚、余命 の4つの話が収録されていて。3人で付き合ってデートをしてキスをして性行為をするのが当たり前になった世界、夫と妻の間の「性」を可能な限り排除した結婚をした夫婦の世界、医療の進歩で人間は死ぬことはなくなり自分の好きなタイミングで好きな死に方を選べる世界

描かれた世界は、合理性の追求の果てにあるような気がして。どれもこれも衝撃的で信じられないって思ったけれど、でもこんな世界が将来何十年何百年後に起こり得ないなんて断言できる根拠もないな、正しさなんてものにも流動的な面もあるよな、なんて思ったり思わなかったり。

一番印象に残ったのは、やっぱり殺人出産で。子供を10人産めば人を1人殺せる世界。男も人工子宮を取り付ければ子供を産める世界。

10人産まずに人を殺せば「産刑」として一生牢獄の中で命を産み続ける、とあったのだけれど、その根底にあるのは【命を奪ったものは命を産み出す義務がある】という考え方で。合理的だと思ったし合理的なだけだと思った。まだ私は今の極刑である死刑が正しいのか悪なのかわからないけれど、命を奪ったからその人の命を奪う、っていう考え方だけしかないわけじゃないよなぁと思った。

悪だ、と裁かれたものが正義だ、と褒め称えられはじめる不思議さ。快楽の性行為と妊娠のための性行為を区別する違和感。また時間が経ってからもう一度読み直して、もう少し深いところまで読みたいな、と思えた本でした。吐きそうなくらい なんて書いたけれど、日常を切り取ったような小説しか読んでなかった私にとって久しぶりの衝撃波が到来した感じで嬉しかったなぁっていうこと

 

 

大きな時の中で世界はグラデーションしていて、対極に思えても二つの色彩は繋がってる。

 

きっと、真弓も、お母さんも、友達も、三人とも清らかなんだ。だから他の人の清潔な世界を受け入れることができないんだ。

 

#殺人出産 #村田沙耶香